密告≪八月二十四日≫ -詩-ベッドの上で、みんな神妙な面持ちで、ガンチャの葉をタバコ に詰める作業に没頭している。 一番に若狭君が効いて来たようだ。 ベッドの上にぶっ倒れてしまった。 俺は一本吸うが何も起こらない。 二本目に挑戦。 俺 「なんともねーな!何で?」 幻聴も幻惑も何も起こらない。 俺 「やっぱり、質が悪いんかなー!」 ただ、少しは気分餓良くなって来ているみたい。 ぶっ倒れていた若狭君が、なにやら意味不明なことを喋り始めた。 どうも6人の中で、彼が一番効いている様だ。 部屋の中はガンチャの煙で、異様なムードが漂い始めた。 若狭君の目はトローンとしてきている。 天井が廻っているような状態だ。 若狭「ラジオの音がやけに大音量に聞こえるわ。ちょっとした 小さな音でも良く聞こえる感じやなー!」 やはり、気持ちが良いのだろう。 酒に酔ったみたいで、それほど苦しくはない。 この夜、6本手に入れたのだが、2本で十分だ。 * 一般に麻薬と呼ばれているものには、アルカロイド(植物塩 基)という複雑な化合物が、主成分となっているのだと言われている。 これらは現在、2000種類も発見されている。 麻薬で一番有名なのがアヘンです。 アヘンはケシの未熟果を傷つけると出てくる樹液を固めた物で、その 主成分がモルヒネと呼ばれている薬です。 それをアセチル化したのがヘロイン。 ヘロインは麻薬の中でも最も強力で、中毒になったらなかなか 治らない危険な麻薬。 次に有名なのが、大麻。 これは麻の花や若葉に数種のアルカロイドを含んでいて、これを精製 し固めた物を、アラビア語でハッシッシと呼ばれ、葉を乾燥させて細かくし たものが、いわゆるガンチャと呼ばれています。 ハッシッシもガンチャも英語では総称してマリファナと呼ばれてい る。 * 東南アジア・中近東では、貧しい人たちが少しの食べ物を得る 為に、ケシの花を栽培しているのが現状です。 この地域で安く容易に手に入るため、旅行者の間でいろんなトラブル に巻き込まれるわけです。 陸続きのヨーロッパからは、これらを手に入れて、幻聴を聞いて音楽 に生かしていると言う人の噂を聞いたこともある。 たとえば、今から七年前薬を持って出ようとした、オランダ人 ヒッピーが税関で射殺されたとか、3~4年前日本人女性が、旅の道ずれと なった西洋人の女性が、たまたま麻薬を所持していた為、共犯者と見なされ 今でも現地の刑務所に入っていると言う情報が実しやかに耳に入ってくると 怖いもんがある。 ここタイでも、ホテルのボーイとかタクシーの運ちゃんが、麻 薬を売りつける副業をやっているが、これにちょっかいを出しているとこれ は危険といわざるを得ないでしょう。 俺は旅の帰りにもタイを訪れる事になる訳だが、その時このマレーシ ア・ホテルに泊まっていた日本人数人が警察に摘発されたという話を聞きま した。 何でも、彼らはタクシーの運ちゃんから麻薬を買ったのですが、売人 と警察が裏で繋がっていたことを彼らは知らなかったのです。 はめられたのです。 警察は捕まえることで表彰され、売人は麻薬を売って金を手に入れ、 密告することでまた金を手に入れるのだ。 ホテルのボーイは、ホテルのイメージもあるので、そんなに簡単には 密告をしないと言われているが、それもあまりあてにならない。 我々の場合、非常にラッキーだったと言って良いかも知れない。 これほど厳しくなったのは、昨年の10月6日に起こったクーデター の後からだと言っている旅行者がいました。 とにかく、人は好奇心が非常に旺盛で、禁止されているものに つい手を出したがるもんだが、十分に旅行者は気をつける必要があるでしょ う。 このマレーシア・ホテルにいると、いろんな情報が入ってくるが、人 様々。 まず自分の目と足で確かめて行動する事が大切ではないか。 今晩は密告される事がないと信じて、眠ることにしよう。 大麻!初めてで、最後にしよう! 酒に強い人間は、麻薬は効かないのかな~~~~! 残念! |